賃貸住宅の欠陥が原因で引越し!費用は誰が負担するの?
賃貸住宅に住んでいると、思わぬトラブルに見舞われることがあります。特に、住み始めてから発覚した住宅の欠陥は、大きな問題に発展しかねません。もし、賃貸住宅の欠陥が原因で引越しを余儀なくされた場合、引越し費用は誰が負担するのでしょうか?この記事では、賃貸住宅の欠陥による引越し費用について、詳しく解説していきます。

賃貸住宅の欠陥による引越し費用の負担

賃貸住宅の欠陥によって引越しをする場合、引越し費用は、原則として大家さんが負担する必要があります。ただし、借主の責任によって欠陥が発生した場合や、契約書に特約がある場合は、借主が負担する場合もあります。

大家さんの責任範囲

大家さんは、賃貸物件を借主に貸し出す際に、安全で快適な住居を提供する責任を負っています。そのため、賃貸物件に欠陥があり、その欠陥が借主の生活に支障をきたす場合は、大家さんはその欠陥を修繕する義務があります。

  • 設備の故障: エアコン、給湯器、キッチン、トイレなどの設備が故障した場合、大家さんは原則として修理または交換する義務があります。
  • 水漏れや雨漏り: 賃貸住宅に水漏れや雨漏りが発生した場合、大家さんはその原因を突き止め、修繕する義務があります。
  • 構造上の欠陥: 床の傾斜、壁の亀裂、天井の崩落など、建物の構造上の欠陥が発見された場合、大家さんは修繕する義務があります。

これらの欠陥が原因で、借主が住居として利用できなくなった場合は、引越し費用を請求することができます。

借主の責任範囲

借主は、賃貸物件を借りる際に、物件を大切に使用し、適切な管理を行う義務があります。そのため、借主の故意または過失によって欠陥が発生した場合、その欠陥の修繕費用は借主が負担することになります。

  • 故意または過失による破損: 家具を移動中に壁に穴を開けたり、水道の蛇口を締め忘れたために水漏れが発生したりした場合など。
  • 設備の不適切な使用: エアコンのフィルターを長期間交換しなかったために、エアコンが故障した場合など。

法律上の根拠

賃貸住宅の欠陥による引越し費用の負担については、民法第606条に根拠があります。この条文では、賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うとされています。そのため、賃貸物件に欠陥があり、その欠陥が借主の生活に支障をきたす場合は、大家さんはその欠陥を修繕する義務があります。

引越し費用を請求できるケース

では、具体的にどのような場合に、引越し費用を大家さんに請求できるのでしょうか?代表的なケースを3つご紹介します。

欠陥が原因で居住不能になった場合

賃貸物件に欠陥があり、その欠陥によって借主が居住不能になった場合は、引越し費用を請求することができます。たとえば、次の例が挙げられます。

  • 給湯器が故障し、お風呂が使えなくなった
  • トイレが詰まり、使用不能になった
  • 雨漏りがひどく、部屋が住めなくなった

健康被害が発生した場合

賃貸物件の欠陥が原因で、借主が健康被害を被った場合も、引越し費用を請求できる可能性があります。たとえば、次の例が挙げられます。

  • カビが発生し、アレルギー症状が悪化した
  • 床の傾斜が原因で、腰痛が悪化した

大家さんが修繕を拒否した場合

大家さんが、借主からの修繕要求を拒否した場合も、引越し費用を請求できる可能性があります。たとえば、次の例が挙げられます。

  • 大家さんが、修繕費用を負担することを拒否した
  • 大家さんが、修繕を先延ばしにし続けた

引越し費用を請求できないケース

一方で、引越し費用を請求できないケースもあります。代表的なケースを3つご紹介します。

借主の故意または過失による破損

借主の故意または過失によって、賃貸物件に欠陥が発生した場合、引越し費用は請求できません。たとえば、次の例が挙げられます。

  • 家具を移動中に壁に穴を開けてしまった
  • 水道の蛇口を締め忘れたために水漏れが発生した

契約書に特約がある場合

賃貸借契約書に、借主の責任による欠陥は借主が負担するという特約がある場合、引越し費用は請求できません。契約書の内容をよく確認するようにしましょう。

軽微な欠陥の場合

賃貸物件の欠陥が軽微で、借主の生活に大きな支障をきたしていない場合は、引越し費用は請求できません。たとえば、次の例が挙げられます。

  • 壁紙のわずかな剥がれ
  • ドアのわずかな隙間

引越し費用を請求するための手続き

引越し費用を大家さんに請求する場合、以下の手順を踏む必要があります。

大家さんに請求書を提出する

まず、大家さんに、引越し費用を請求する旨を伝える必要があります。この際に、請求書を作成し、請求金額、請求理由、証拠となる書類などを添付して提出しましょう。

証拠となる書類を揃える

引越し費用を請求する場合、必ず証拠となる書類を揃えておきましょう。たとえば、次の書類が挙げられます。

  • 賃貸借契約書
  • 修繕要求の記録: 電話やメールなど、大家さんに修繕を要求した記録を保管しておきましょう。
  • 引越し費用明細書
  • 写真や動画: 欠陥の様子を写真や動画で記録しておきましょう。
  • 専門家の意見書: 必要に応じて、建築士や不動産鑑定士などの専門家の意見書を提出しましょう。

必要に応じて弁護士に相談する

大家さんが、引越し費用を支払うことを拒否した場合、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、法律的な知識に基づいて、大家さんと交渉したり、裁判を起こしたりすることができます。

まとめ

賃貸住宅の欠陥が原因で引越しをする場合、引越し費用は原則として大家さんが負担する必要があります。ただし、借主の責任によって欠陥が発生した場合や、契約書に特約がある場合は、借主が負担する場合もあります。引越し費用を請求する際には、大家さんに請求書を提出する、証拠となる書類を揃える、必要に応じて弁護士に相談するなど、適切な手続きを踏むようにしましょう。
賃貸住宅の欠陥によってお困りの方は、弁護士にご相談ください。