この記事では、リフォーム工事を行う際に必要な建設業許可の取得について解説します。特に、どの業種を取得すればいいのか、許可取得のメリットや注意点などを詳しく説明していきます。リフォーム事業を始める、または規模を拡大しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
リフォーム工事で必要な建設業許可の業種について解説
リフォーム工事は、住宅の改修や修繕など、さまざまな工事を含むため、どの業種の建設業許可が必要なのか迷う方も多いかと思います。ここでは、リフォーム工事でよく使われる主な許可業種について解説していきます。
リフォーム工事は、軽微な工事であれば許可不要
リフォーム工事は、工事内容や規模によって建設業許可が不要な場合もあります。具体的には、以下の2つの条件を満たす場合です。
- 建築一式工事以外の工事で、請負金額が500万円未満(消費税込み)の場合
- 建築一式工事で、請負金額が1500万円未満(消費税込み)または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事の場合
例えば、壁紙の張替えや床の貼り替えなど、小規模なリフォーム工事であれば、500万円未満であれば許可は不要です。しかし、キッチンや浴室などの水回りリフォームなど、大規模な工事を行う場合は、500万円を超える可能性が高いので、建設業許可を取得する必要があります。
500万円未満の工事は、建設業許可が不要
上記の条件を満たす場合は、建設業許可がなくてもリフォーム工事を請け負うことができます。しかし、近年は、お客様の安全や品質に対する意識が高まっているため、500万円未満であっても、建設業許可を取得するリフォーム業者が増えています。建設業許可を取得することで、お客様からの信頼度を高め、より多くの仕事を獲得できる可能性があります。
500万円以上の工事は、建設業許可が必要
請負金額が500万円を超える場合は、建設業許可が必須となります。許可を取得していない場合は、違法となるため、注意が必要です。建設業許可を取得するには、いくつかの要件を満たす必要があります。具体的な要件については、後述します。
リフォーム工事でよく使われる主な許可業種
リフォーム工事は、さまざまな専門工事を組み合わせるため、複数の建設業許可が必要になる場合があります。ここでは、リフォーム工事でよく使われる主な許可業種をいくつか紹介します。
内装仕上工事業:壁紙、床、天井など内装の仕上げ工事
内装仕上工事業は、リフォーム工事で最もよく使われる許可業種の一つです。壁紙の張替え、床の貼り替え、天井の仕上げ、間仕切りの設置など、室内空間の仕上げを行う工事を指します。内装仕上工事業の許可を取得していれば、多くのリフォーム工事に対応できます。
建設業許可を取得するメリット
建設業許可を取得することには、さまざまなメリットがあります。ここでは、主なメリットを5つ紹介します。
顧客からの信頼度向上
建設業許可を取得していることは、お客様にとって、その事業者が信頼できる証となります。特に、リフォーム工事は高額な工事である場合が多く、お客様は信頼できる業者に依頼したいと考えています。建設業許可は、お客様にとって、その事業者が法律で認められた信頼できる業者であることを示す、重要な指標となります。
競合との差別化
建設業許可を取得することで、競合他社との差別化を図ることができます。特に、中小規模のリフォーム業者では、建設業許可を取得していないところが多く、建設業許可を取得することで、お客様からの信頼度を高め、競合他社との差別化を図ることができます。
受注機会の増加
建設業許可を取得することで、より多くの仕事を獲得できる可能性があります。特に、500万円以上の工事を受注する場合、建設業許可が必須となるため、許可を取得していないと、受注の機会を失ってしまう可能性があります。また、建設業許可を取得していることは、お客様からの信頼度を高めるため、受注に繋がる可能性も高まります。
銀行からの融資が受けやすくなる
建設業許可を取得していることは、銀行からの融資を受けやすくなるというメリットもあります。銀行は、建設業許可を取得している事業者に対して、より安心して融資を行うことができます。建設業許可は、事業の安定性を示す指標の一つとして、銀行から評価されることが多いです。
公共工事への入札参加が可能になる
建設業許可を取得することで、公共工事への入札に参加することができます。公共工事は、安定収入を得ることができるため、事業の安定化に役立ちます。公共工事への入札参加には、建設業許可に加えて、経営事項審査など、いくつかの要件を満たす必要があります。
建設業許可の取得方法
建設業許可を取得するには、以下の手順で申請を行う必要があります。
必要な書類を揃える
建設業許可の申請には、さまざまな書類が必要となります。具体的な書類は、申請する都道府県や業種によって異なりますが、一般的に、以下の書類が必要となります。
- 建設業許可申請書
- 会社設立の登記事項証明書
- 定款
- 役員名簿
- 賃貸借契約書
- 財産状況証明書
- 従業員名簿
- 専任技術者の資格証明書
- 経営業務管理責任者の資格証明書
これらの書類を、申請する都道府県の建設業許可担当窓口に提出します。
申請書類を提出する
必要な書類を揃えたら、申請書類を提出します。提出先は、申請する都道府県の建設業許可担当窓口です。窓口によって、提出方法が異なりますので、事前に確認しておきましょう。
許可証の交付
申請書類が受理されると、審査が行われます。審査には、数週間から数ヶ月かかる場合もあります。審査の結果、許可が認められた場合は、許可証が交付されます。
行政書士に依頼する
建設業許可の申請は、複雑な手続きが必要となります。そのため、専門知識を持った行政書士に依頼する方が、スムーズに手続きを進めることができます。行政書士は、建設業許可に関する豊富な知識と経験を持っているので、書類作成や申請手続きを代行してくれるだけでなく、許可取得に必要なアドバイスなどもしてくれるのでおすすめです。
建設業許可申請代行サービスを利用する
近年では、建設業許可申請を代行してくれるサービスも増えています。これらのサービスは、専門知識を持ったスタッフが、申請手続きを代行してくれるため、忙しい事業者の方にとって便利です。サービスによっては、書類作成から申請手続きまで、すべてを代行してくれるところもあります。
建設業許可を取得する際の注意点
建設業許可を取得する際には、いくつかの注意点があります。ここでは、主な注意点を5つ紹介します。
必要な資格を取得する
建設業許可を取得するには、業種によって、必要な資格が異なります。例えば、内装仕上工事業の許可を取得するには、建築施工管理技士などの資格が必要となる場合があります。事前に、必要な資格を確認し、取得しておきましょう。
必要な技術力を持つ
建設業許可を取得しただけでは、工事を行うことはできません。お客様に安全で質の高い工事を提供するためには、必要な技術力を身につける必要があります。経験豊富な社員を育成したり、外部の専門業者と連携したりすることで、必要な技術力を確保しましょう。
財産要件を満たす
建設業許可を取得するには、一定の財産要件を満たす必要があります。具体的には、資本金や純資産の額などが、基準に満たしている必要があります。事前に、財産要件を確認し、必要な資金を確保しておきましょう。
経営管理責任者を置く
建設業許可を取得するには、経営業務の管理責任者を置く必要があります。経営管理責任者は、建設業に関する豊富な知識と経験を持ち、事業の経営管理を適切に行う責任者です。経営管理責任者は、会社の役員や従業員の中から選任します。
専任技術者を置く
建設業許可を取得するには、専任技術者を置く必要があります。専任技術者は、建設業に関する専門的な知識と技術を持ち、工事の施工管理を行う責任者です。専任技術者は、会社の役員や従業員の中から選任します。
まとめ:リフォーム工事の建設業許可は必要?
リフォーム工事の建設業許可は、以下の点に注意して検討する必要があります。
500万円以上の工事を行う場合は、建設業許可が必要
500万円を超える工事を行う場合は、建設業許可が必須となります。許可を取得していない場合は、違法となりますので、注意が必要です。
適切な業種を選択することが重要
リフォーム工事は、さまざまな専門工事を組み合わせるため、複数の建設業許可が必要になる場合があります。お客様に安心して工事を依頼していただけるように、自社の得意とする分野を考慮し、適切な業種を選択しましょう。
建設業許可は、事業の安定化や信頼性向上に役立つ
建設業許可を取得することで、お客様からの信頼度を高め、受注機会が増加するなど、事業の安定化や信頼性向上に役立ちます。リフォーム事業を始める、または規模を拡大しようと考えている方は、建設業許可の取得を検討してみてはいかがでしょうか。