従来の日本の住宅建築業界では、スクラップ&ビルドとして、古い家を取り壊しては新しい家を建てるという使い捨ての繰り返しが常となっていました。
しかし、エコが取りざたされる昨今、地球環境に優しい住宅をという趣旨からリフォームが見直されています。
今ある家を大切に長く使うことができるリフォームですが、実はその意味は幅広く、もともと修繕と呼ばれていた家の中の修理やトラブル解消のための工事から、維持管理のための定期的メンテナンス、そして、増改築まで意味します。
今回は、リフォームにはどのような種類があるのか、みていきたいと思います。
目次
部分リフォーム
部分リフォームは、家の中の一部を修理、改修するものです。
古くなったキッチンを新しくしたい、汚れた壁紙を張り替えたい、玄関のサッシを交換したいなどなど、比較的手軽にできるリフォームです。
水回りのリフォーム
キッチン、浴室、トイレ、洗面所などの水回り設備の交換や修理工事を言います。
水回りは、上下水道やガスなどの配管の問題がありますので、専門業者が工事を行います。
単純に、システムキッチン、トイレなど水回り設備の入れ替えであれば、住宅設備機器販売会社でも施工工事を行っています。
最近は、使いやすく様々な便利機能を持ったシステムキッチンや、システムバス、近代的なトイレなどがあり、そのグレードの高さは目を見張るものがあります。
ショールームを設けている会社も多いので、実際に足を運んでみると、自分の希望や自分の家にぴったりの設備を選ぶことができるでしょう。
内装リフォーム
お部屋の壁紙の張り替え、床の張り替え、建具の交換など、室内のお手入れが内装リフォームです。
壁紙を新しくするだけでも、部屋が明るくなったり雰囲気が変わったりするため、比較的簡単なリフォームでありながら、新しく生まれ変わった家を楽しむことができます。
畳からフローリングに交換したり、洗面所の床をクッションフロアにするなど、好みと用途に応じて、快適空間を作ることができます。
外壁リフォーム
家を購入したり新築した後、毎日の生活の中で室内のトラブルは気づきやすいのですが、外壁のトラブルには意外と気が付かないものです。
しかし、ひび割れてきたりさびてくるなど一旦トラブルが生じてしまうと、建物内部に水が浸入する可能性もあり、大きなダメージの原因となってしまいます。
そのため、塗り替えや張り替え、防水加工など、定期的にメンテナンスが必用といわれています。
屋根リフォーム
屋根のリフォームも、外壁と同じ様に普段目につきにくいことから忘れがちではないでしょうか。
しかし屋根は、雨、風、強い日差しと過酷な環境から家を守ってくれているため傷みやすく、メンテナンスが必用です。
屋根のリフォーム方法としては、塗り替え、葺き替え、重ね葺きがあり、現在の屋根の材質や状況、予算などに合わせて決めていきます。
全面リフォーム
新築から10年、20年と長い年月が経つと、家のところどころに気になるところが出てきます。
キッチンが使いにくい、壁紙が汚れてきた、動線が悪くて家事をしにくい、子供部屋を増やしたい、雨漏りがする、などなど。。。
また、実家をきれいに直して2世帯にしたいということもあるでしょう。
そのような時に、大掛かりな全面リフォームが行われます。
室内の内装、水回り設備の変更、外回りの補修など、現在から将来に向けて家族が快適に住みやすいように、一軒まるごとリフォームしていきます。
家族構成に合わせた大規模な間取り変更や、元の家とは全く異なる素材やデザインへの変更、基礎と柱だけを残して他は全て新しくすることも可能で、こういった大掛かりな工事は「リノベーション」と呼ばれています。
リノベーションでは、部分リフォームのように単純な設備の入れ替えだけではなく、生活動線や居住性まで考慮し設計されるものです。
全面リフォームの費用は、当然のことながら大きな金額となりますので、あらかじめ予算をしっかり把握しておくことが大切です。
不具合のあるところ、不満のあるところをリストアップして、修繕する場所を考えていくことになりますが、ついでにあれもこれもと欲がでてしまいがちです。
予算をオーバーしては後で大変なことになりますので、絶対リフォームが必要なところ、予算があればリフォームしたいところなど、優先順位をつけて考えてきましょう。
リフォーム業者にも、あらかじめ予算をしっかりと伝えておく必用があります。
住宅性能向上リフォーム
家を購入する時など、この家の性能がどの程度なのか知るため、住宅性能評価書が発行されるようになりました。
これは、住宅性能表示制度に基づいて、住宅の構造、温熱環境、空気環境、音環境、高齢者への配慮など、10項目について評価点を与えるものです。
これら10項目に関わる性能向上のために行うリフォームもあります。
耐震補強リフォーム
東日本大震災の記憶が新しいところですが、南海トラフ地震が起こる可能性も高いと言われており、地震大国ニッポンにすむ私たちとしては、住宅の耐震性能は大変気になるところです。
1981年以前に建てられた住宅の約98%が耐震性能に欠けるといわれており、安全安心な毎日を過ごすために必要不可欠なリフォームと言えます。
耐震補強リフォームは、家の耐震診断の結果に合わせて耐震設計や補強プランを立てていきます。
耐震補強工事は、基礎、土台、耐震壁、重心のバランスなどが大切で、築年数や劣化状態などにより、その家にとってベストな方法が提案されます。
耐震リフォームは国や自治体でも推奨しており、助成金の制度を設けています。
安全のためとはいえ、大きな買い物である耐震理フォームですので、助成金の制度は大変ありがたいものです。
各自治体によって制度の内容が違い上限金額などが異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
断熱改修リフォーム・エコリフォーム
日本の古い家は、「夏暑くて冬寒い」と言われます。
実際に、子供のころに住んでいた家は、なぜか廊下が凍えるように寒い、脱衣所でガタガタ震えてしまうなどという記憶のある人も多いのでは?
こういった問題解決のために、断熱改修リフォームや、エコリフォームが行われています。
断熱材の充填を行い、外の熱気や冷気の影響を受けにくく、また室内の空気を外へ逃がさずに快適な室温を保てるようにしたり、窓を2重ガラスにする、内窓を取り付ける、サッシを断熱性の高い樹脂製に交換するという方法で、断熱効果を高めます。
その他、地球環境に優しい発電・太陽光発電や高効率給湯器などは、省エネ対策のためのエコリフォームとして国や自治体の補助金制度が設けられています。
バリアフリーのリフォーム
高齢化社会が問題視される昨今、バリアフリーリフォームを行う家庭も増えてきました。
高齢者の方や障害のある方が、家の中で安全に生活できること、車いすなどを使って生活できることなどを目的に、段差の解消、車いすに合った床材への変更、手すりの設置、廊下を広くする、階段の勾配をゆるめるなどの工事を行います。
バリアフリー設計の家は、実は小さなお子様や若くて元気な方にとっても、より安全で住みやすいというメリットがあり、大きなリフォームを計画するのであれば、早めにバリアフリーの考え方を取り入れてもよいかと思います。
リフォームの種類まとめ
リフォームにはいろいろな種類があります。
トラブルが起きた部分を修繕するもの、定期的なメンテナンスを目的とするもの、大掛かりな間取り変更やリノベーションまで多種多様です。
中には、住宅性能アップのための耐震工事や断熱化工事、バリアフリー工事もあり、リフォームと言ってもその目的は様々。
大きな買い物であるリフォーム、自分が何のためにリフォームをしたいのか?その目的をよく考えることが大切です。
そして、その目的に応じた優先順位をつけ、予算内におさまるようよく検討することです。